五十肩とは40代〜60代の人に起きやすい肩関節の痛みのことです。
五十肩とは通称で、病院での診断名は「肩関節周囲炎」とされます。その名の通り肩関節周囲が炎症をおこしたり、肩関節の筋肉が硬くなったり、石灰が沈着していたりと肩関節周囲に異常をいたしているものです。
ここでは、肩関節周囲の筋肉が硬くなって起こるものを解説させていただきます。
関与する筋肉
五十肩は関与する筋肉がたくさんあるため、代表的な筋肉だけ紹介します。
棘上筋ー肩甲骨上半分(棘上窩)に起こり、上腕骨大結節に停まる。関節包にも付着する。
【作用】肩関節を外転する。(腕を外から挙げる)買い物かごを持つなど身体の側方でものを持つ。
参考図書プロメテウス解剖学コアアトラス
棘下筋ー肩甲骨下半分(棘下窩)から起こり、上腕骨大結節に停まる。関節包にも付着する。
(作用)肩関節を外旋する。(肘を曲げて頭を触りにいく動作)先発や結髪などの動作。
参考図書プロメテウス解剖学コアアトラス
小円筋ー肩甲骨外側縁に起こり、上腕骨大結節に停まる。関節包にも付着する。
(作用)肩関節を外旋する。洗髪や結髪などの動作。
参考図書プロメテウス解剖学コアアトラス
肩甲下筋ー肩甲骨前面(健康下窩、肩甲骨と肋骨の間にある)に起こり、上腕骨小結節に停まる。関節包にも付着する。
(作用)肩関節を内旋する。後ろのポケットを触る動作。
上記の4つの筋肉は「回旋筋腱板」と呼ばれる。協力して上腕骨を肩甲骨に引き寄せる働きをし、肩関節の安定に作用している。
参考図書プロメテウス解剖学コアアトラス
大円筋ー肩甲骨下角(肩甲骨下の尖った部分)に起こり、上腕骨小結節稜に停まる。
(作用)肩関節を内旋・内転する。後ろのポケットを触る動作。
症状
- 髪を結ぶ動作が痛い
- 髪を洗う動作が痛い
- ズボンの後ろのポケットに手を回すのが痛い
- 車の運転をすると痛い
- 腕を前から挙げると痛い
- 腕を横から挙げると痛い
- 夜間痛みで目が覚める
などがあり、痛めている筋肉によって症状は様々です。
五十肩とは、肩の痛みを一つにまとめた俗称で、実際の症状は人によって様々です。また、症状がひどくなると色々な筋肉が硬くなり、上記症状のうち1つの動作で痛みがあったのが色々な動きで痛みが出現するようになります。
痛みがある場合は我慢せず、早めに相談してください。
原因
例えば、階段を踏み外して足を捻り捻挫した・転倒したときに手をつき骨折したなどのものはハッキリと原因があります。
ですが、五十肩にはそれが無いのです。無いというか、ハッキリとした原因はわかっていません。
ここでは、「五十肩の原因」ではなく「どのような仕事や生活環境の人に五十肩が多いのか」ということを紹介させていただきます。
- 長距離ドライバー
- 大工・鳶職等の建築関係者
- スーパーのレジ仕事
- 工場等での製造業・ライン作業
- その他手をよく動かす職業
- 子供や孫を抱っこする
- 喫煙をしている
などが、五十肩の症状を訴える方に多いです。
腕を使うときには腕の筋肉だけではなく、肩甲骨の筋肉・背中の筋肉・胸の筋肉・首の筋肉を同時に使っています。
肩関節や肩甲骨は腕の土台となる部位です。腕を使うときはこの土台がしっかり固定されていないといけない為、無意識に肩甲骨や首などに力が入っています。
それが、長時間になり、疲労が溜まり筋肉が硬くなってしまうと五十肩が完成します。
これを、すぐ治るだろうと放っておくと、どんどん肩が動かなくなっていきます。さらに喫煙が加わると血管が硬くなり血流が悪化し治るまでに時間がかかってしまいます。
治療
肩はとても可動範囲が広い間接でその動きには色々な筋肉が関与しています。
まずは肩の動きを評価し、どの筋肉が原因で痛くなっているかを探し出します。原因が判明すればそこに指圧や鍼治療を行います。
また、痛めている側は、肩が内巻きになっていることが多く肩甲骨の位置や姿勢が悪くなっているためその治療も同時に行います。
痛みがあるときに、そのうち治るだろうと放っておくて症状が悪化し、治るまでに時間がかかります。
対策
①冷やさないようにする
局所を冷やさないようにしましょう。冷やしてしまうと筋肉が硬くなってしまいます。夜はお風呂にゆっくり浸かりからだ全体を温めてください。
②痛みが出ない範囲で動かす
痛いからと言って大事にしすぎるよりは痛みが出ない範囲で大きく動かしましょう。無理は禁物ですが動かすことはとても大切です。
また、局所の運動も大切なのですが、全身の運動もとても効果的です。全身の血流が良くなり筋肉が緩むと自然と肩の血流も良くなり筋肉を緩むからです。ウォーキング・ランニング等も積極的に行なってください。
五十肩は痛みが強く、治るまでに時間もかかりますが改善することは可能です。
家の近くで治療を受けられるところに相談してみてください。