皆さんはストレスについて考えたことがありますか??
おそらく多くの人はストレスという言葉を聞くとイライラしたり落ち込んだりする精神的なことを思い浮かべると思います。
でも実はそれだけでなく、ストレスは身体に与える影響もかなりあるのです。
病院に行っても誰かに相談しても「ストレスちゃうか」の一言、、、
今回はそのストレスが身体に与える影響について皆さんに知っていただこうと思います。
ストレス学説
これはカナダのハンスセリエという学者が提唱した学説です。
元々はホルモンの研究をしており、ある特定の刺激を与えたときのラットの身体の変化を記録していました。
結果、その刺激では今まで通りの「ありきたりな変化」しか記録できず、そのホルモンの研究は失敗に終わりました。
ですがここでハンスセリエはこの「ありきたりな変化」に着目しました。
ラットの身体に様々な刺激を与えた結果、ほとんどの個体が同じような変化、反応を起こすというものでした。
その変化というのが
- ①副腎皮質の肥大
- ②胸腺・リンパ組織の萎縮
- ③胃粘膜の出血や潰瘍
です。言葉よりも大切なのはその中身なので後ほど説明いたします。
どの個体にも見られたありきたりな変化、でも捉え方によってはかなり特徴的な変化がストレスを理解する上でとても大切で「ストレスの三大兆候」となります。
ストレスに対する身体の反応
持続的なストレスを受け続けることで身体はそれに対する反応を出し始めます。それぞれ
- 警告反応期
- 抵抗期
- 疲憊期
と呼ばれ各時期にはそれぞれの特徴があります。
警告反応期
受けているストレスに対して身体が危険信号を出している状態です。この時期は前述したストレスの三大兆候が表れるじきとなります。様々な不調が表れ、ストレスで胃が痛いという経験がある方もいるのではないでしょうか?
ストレスの三大兆候については後ほど詳しく説明させていただきます。
抵抗期
身体がストレスに対して一定の耐性を持つ時期です。警告反応期と違い身体が少し元気になるのが特徴です。ただし注意しないといけないのが、身体が一時的に元気になっているだけなので継続的なストレスがかかり続けるとすぐに弱ってしまいます。
周りからは元気やねーといつも言われるけど本人は身体が疲れているという方は結構いらっしゃいます。こういう方は気をつけないとここから悪化してしまう可能性があります。
疲憊期
身体がストレスに対し完全に負けてしまう時期です。免疫力が低下しているので様々な病気に感染したりうつ病などの精神疾患を患うこともあります。実験用のラットでは命を落とす個体もいたようです。
疲憊期に入るまでに対策をすることがベストだと思います。ストレスがたっまっている時は周りの家族や友人に早めに相談してくださいね。
ストレスの三大兆候
- 副腎皮質の肥大
- 胸腺・リンパ組織の萎縮
- 胃腸粘膜の出血や潰瘍
続いてこちらの解説に入ります。副腎や胸腺といった聞き慣れない言葉が出てきますので、赤文字以下のポイントの部分を覚えてもらえたらと思います。
副腎皮質の肥大
副腎とは腎臓の上にちょこんと乗っかっているホルモンを分泌する小さな臓器です。皮質と髄質に分けられ皮質からは糖質コルチコイド(ステロイド)、髄質からは鉱質コルチコイド(アドレナリン)が分泌されます。
ストレスに対しては副腎皮質が深く関係し、糖質コルチコイドとは血糖値を上げるホルモンとなります。
過大なストレスを受けることで、そのストレスに負けないようエネルギーとなる糖質を産生しようとするため肥大化してしまうのです。
ストレスが溜まると甘いものがほしくなるといいますが、ストレスに対抗しようとして身体が糖質をほしがっているのです。また「そんなに食べてないのに最近太ってきた」や「脂肪肝と診断された」などもストレスが関わっていると考えられ、糖質は使い切れずに余ってしまうと脂肪として保管されてしまうことが原因となります。
糖質コルチコイドはステロイドホルモンで、これは病院で使用されるステロイド剤の基となるホルモンです。強い抗炎症作用があり関節リウマチなど炎症性疾患に使われるのですが、同時に免疫力が低下(胸腺・リンパ組織の萎縮)してしまうという特徴があります。
胸腺・リンパ組織の萎縮
胸腺とはリンパ球を産生する器官でウイルス感染やがん細胞をやっつけてくれる働きを持ちます。
ストレス環境では副腎皮質の働きが強くなってしまうため、その影響で胸腺やリンパ組織が萎縮し免疫力が低下してしまいます。
ステロイド剤を服用したことがある人は「免疫力が低下しているから外出は控えるように」と言われたことはありませんか?
疲れると風邪を引きやすくなるのもこれが影響しており、体力的な疲れはもちろん、精神的な疲れが蓄積すると熱が出たりヘルペスなど日和見感染症(免疫力が低下すると発症する感染症)にかかってしまいます。
免疫反応はがん細胞に対しても有効で、日々身体の中で出現するがん細胞に対し免疫反応を起こしやっつけてくれています。
ストレスにより免疫反応が低下するとがん細胞に対しても反応が低下し、がん発症の大きな要因の一つとなるのです。
大きな病気を未然に防ぐためにもストレスのためすぎには注意が必要です。
胃腸粘膜の出血・潰瘍
胃や腸の粘膜に出血や潰瘍がみられます。
胃には食べ物を消化する消化液と胃の粘膜を守る粘液の二種類があります。
ストレスを強く感じるとこの二つのうち、胃の粘膜を守る粘液の分泌が低下します。
胃を守る粘膜が少なくなるので消化液が胃の粘膜を攻撃してしまい胃の出血や胃潰瘍へと悪化してしまうのです。
「ストレスで胃が痛くなる」という経験はありますか?
胃が痛くなるまでいくとかなり症状は悪化していますが、胃の調子が悪い、食欲がない、胃が重たいなどの症状がある人は多くいらっしゃいます。
こんな状態でもストレスが溜まっているからつい間食をしてしまったり、食べ過ぎてしまったりしてしまいがちですが、胃の調子が悪いときはしっかり胃を休めてあげてくださいね。
これら三大兆候はストレスの警告反応期に出現し、抵抗期に入ると一時的に回復します。
この時に身体が治ったと思ってしまいがちですがそれは一時的なもの、油断せずに回復に努めましょう。
その他の身体への影響
ストレスは三大兆候の他にも身体に様々な影響を与えます。
肩こり、首こり、頭痛、睡眠障害などが代表的な症状でしょうか。
ストレスが溜まっている身体では身体を興奮させる交感神経が優位に働いており、精神的な緊張、身体がカチコチ、寝ている身体を起こすなどいつでも動ける状態をつくります。
野生の動物では天敵から逃げるためにこれらの反応が表れるのですが、これが人間では対人関係のストレス(仕事や家族、友人など)により引き起こされることがほとんどです。
また野生の動物では天敵から逃げ切ることができると交感神経の緊張は一旦休めることができるのですが人間ではそうはいきません。
人間には思考能力があるため、仕事から帰っても仕事のことが頭から離れなかったり対人関係のストレスについて長く悩んでしまいます。
これが長期的なストレスとなり様々な身体の不調を感じるようになってしまいます。
ストレスによる不調から回復する方法
このような症状でお悩みの方には
身体の疲れをとること
をオススメしております。
これはなぜか、それは周りの環境を変えることは非常に難しいからです。
仕事が原因だとしてもすぐにやめることはできないし、育児が原因だとしても子供はすぐに大きくなりません。周りの環境を変えるより自分の身体を変える方が簡単なのです。
前述しましたがストレスが溜まると身体は緊張し肩や首こり、頭痛、腰痛など様々な身体の不調が出現します。同時に心に余裕がなくなり身近な家族に強く当たってしまうなんてことはよくある話です。(私も寝不足で身体が疲れている時は子供の声にイラッとしてしまうときがあります)
逆にこの不調を解消することで身体が軽くなり心に余裕が生まれます。
睡眠の質をあげることもできるのでまずはしっかりと身体の疲れをとりましょう。
私の場合、マッサージや鍼灸の技術がありそれが効果的と思っているので、それらを用いて元気になってもらいます。
でもマッサージを受ける、旅行に行く、友達とランチなど、リフレッシュの方法は人それぞれ様々でかまいません。
自分の身体に合ったリフレッシュ方法を見つけてくださいね。
まとめ
- ストレスに対する身体の反応期は3つに分けられる
- ストレスの三大兆候がある
- 肩こりや頭痛、睡眠障害などの症状も出現
- まずは身体の疲れをとることから回復スタート
いかがだったでしょうか?
普段様々な症状を「ストレスやね」の一言で終わらせてしまっている人はぜひ一度自分を見つめ直してみてください。
知らぬ間にストレスが溜まり、がんなど大きな病気になる可能性も、、、
「ストレス溜まってすねん」と一言言うだけでもストレス解消になるものです。
身体がおかしいと思ったらいつでもご相談ください。