今日本には2000万人以上の頭痛患者がいます。
日本人口の約1/5以上、街中で
「あなたは頭痛持ちですか?」
と聞くと5人に1人は「はい」と答える数字です、、、
今回は
「頭痛をスッキリ治す本(著:寺本純)」
で勉強したことを自分なりにまとめて紹介させていただきます。
以前に書いた頭痛の記事も併せてお読みください。
緊張型頭痛の特徴
緊張型頭痛には3つの特徴があります。
①均一性の痛み
ズキンズキンと脈打つような痛みではなく、締め付けられるようなギューとした痛みであったり、ズーンと重たいような、持続的な痛みを訴えます。
②両側性の痛み
左右どちらかだけが痛いということはなく、ほとんどの患者さんが両側・頭全体が痛いと訴えます。
③持続性の痛み
「朝起きてから数時間後に痛みが出そうな感じがして、その後ガンガンと痛み出す」
というような突発的な痛みではなく
「毎日朝起きたらズーンと痛く、それが長時間続く」
というような持続的な痛みが特徴的です。
さらに緊張型頭痛は
①肩こり型②ストレス型③片頭痛型
この3つに分類することができます。
1.3ヶ月以上の期間、1ヶ月に15日以上の頻度で頭痛が出現。かつ2〜5を満たす
2.頭痛が数時間持続する、または絶え間なく続く
3.以下のうち2つを満たす
a,両側性 b,圧迫感・締め付け感 c,強さは軽度〜中等度 d,歩行など日常生活動作で悪化しない
4.以下の両方を満たす
a,光過敏・音過敏・軽度の悪心はあってもいずれか b,中〜重度の悪心はない
5.その他の疾患によらない
肩こり型緊張性頭痛
その名の通り肩こりが原因の緊張型頭痛です。
パソコンやスマホの使い過ぎにより、肩や首の筋肉が凝り固まり頭痛が出現します。
「肩・首が凝ってくると頭が痛くなるわー」
という経験をしたことがある人はこれに当てはまります。
これを本では頭頸部ジストニアではないかと紹介しております。
ジストニアには、起きている際は無意識に筋肉が収縮・硬くなり、寝ると筋収縮が軽減するという特徴があります。
これが何らかの原因で肩や首の筋肉に出現し、持続的に筋肉を収縮させ肩こり首こりの原因となり、肩こり型緊張性頭痛が完成するという考え方です。
1.首肩の筋肉に痛みやつっぱり感がある
2.筋肉の痛みに左右差がある
3.姿勢の異常がある
4.首を動かした際、動きやすさに左右差がある
5.首肩の筋肉の太さに左右差がある
6.睡眠中に首肩に痛みやつっぱり感で目が覚めることはない
7.頬杖をつく癖がある(感覚トリック)
8.精神的・肉体的ストレスがあると痛みが強くなる
ストレス型緊張性頭痛
この型は
痛む部位・特徴がはっきりしない、不定な症状を訴える
というのが特徴です。
肩こり型の場合はこりがある筋肉が原因となりますので、痛む部位や痛みが特徴的で、その筋肉を施術すれば警戒することが多いです。
一方ストレス型の場合は
痛い部位はよくわからない、1日中ずっと痛く、いつから痛いのかもわからない
など本人が頭痛について詳しくわからないことがあります。
私の経験ではストレス型の頭痛をお持ちの人は頭痛以外にも、身体の色々な部位の痛みを訴えることが多いようです。(例えば頭痛以外にも、肩も腰も足も痛い、息苦しい、寝つきが悪いなど)
ストレス型頭痛の原因として考えられるのは、ストレス過多により脳が疲弊し脳の機能に何らかの異常をきたしているということが考えられるようです。
本にはここまでしか書いてないので少し私の見解を。
痛みには擦り傷・切り傷・ぎっくり腰・捻挫など実際に体を痛める他に、記憶や感情で痛みを再現してしまうケースがあります。
身体が疲れる・ストレスを感じる→頭が痛くなるかもしれない不安・恐怖→脳が頭痛を再現
というような形です。
これには脳の扁桃体という天豆状の部位が関与します。
扁桃体は全身の感覚をキャッチし、体に害があると判断されるとネガティブな感情を生み出します。(自衛のため精神的・肉体的ストレスに反応)
例えば怪我をした時「そこを動かすと痛い」という恐怖・不安を感じさせてくれたり、仕事で嫌なことがあった時に悲しんだり怒ったりして発散させてくれる役割があります。
この扁桃体の機能を調整するのが前頭前野です。
長期間ストレスを受け続けることで前頭前野が疲弊し、扁桃体の調節がうまくいかなくなります。
その結果、不安や恐怖の感情が過剰となり痛みを再現してしまうことがあります。
1.一般的な患者さんと表現・表情が異なる
2.病歴や生活背景に精神的な問題が疑われる
3.頭痛の性状に一定性がない
4.頭痛にはほとんど変動がなく、痛みの強さや持続性を訴える
5.横柄もしくは極端に神経質な受診態度
6.肩こりはないか、あったとしても気づかない
7.これまで受けた頭痛治療は効果がなかった、あるいは悪化したと訴える
8.頭痛の治療より内臓などの検査を希望しがち
私は仕事上、そういう人を多く見ますが皆さんはいかがですか?
案外身近にそういう人が数人はいると思いますよ。
片頭痛型緊張性頭痛
片頭痛の主な特徴は
月に2〜3回の発作性であること、閃輝暗点(目がチカチカ)がある、左右片側だけに出現することが多い、若年者に多く高齢者に少ない、女性に多い
などがあります。
20代の頃から片頭痛があり、痛みが出るたびに薬で痛みを軽減していたが、痛みの出る頻度が多くなり薬も効果が薄くなってきて、今では毎日のように頭痛がある
というように片頭痛から移行してしまうものが片頭痛型緊張性頭痛です。
「片頭痛がなぜ起こるのか」という説で今可能性が高いと考えられているのが「三叉神経血管説」です。
こめかみあたりの血管には三叉神経が巻き付いていると考えられています。
身体に何らかの異常が発生し血圧が上がることで、脈打つたびに血管と神経がぶつかり、ズキンズキンとした片頭痛が出現します。
ただこの説に私は疑問を持っております。
その疑問点というのは「本当に三叉神経の痛みなのか」ということです。
三叉神経は末梢神経なので痛みの特徴として「三叉神経が走っている部位に痺れるような痛み」が出現するはずなのです。
例えば
座っている時間が長くて足が痺れるのは坐骨神経、坐骨神経がお尻の筋肉に圧迫を受け足が痺れるのが坐骨神経痛、鎖骨の部位で神経が圧迫され腕が痺れるのは胸郭出口症候群
というように神経痛というものの症状には痺れがつきまといます。
しかし片頭痛は三叉神経が痛みを出しているはずなのに顔面部に痺れを訴えることはほとんどありません。
片頭痛は未だに原因があまりはっきりと分かっていないので、勉強して新たなことが分かりましたらお伝えさせていただきます。
1.遺伝的傾向がある
2.若年期に始まる
3.発作的にときどき出現する
4.片側の痛みである
5.脈に合わせた拍動性の痛みである
6.悪心や嘔吐を伴うことがある
7.痛い時に、光・音・匂い・振動を嫌がる
8.妊娠中は軽減する
9.血管拡張をきたす条件で誘発されやすい
10.30歳までに出現する
11.加齢によって改善・消失する
緊張性頭痛の対策法
①肩こり型緊張性頭痛
この型の場合は「肩こりをなくす」というのを目標にしてみましょう。
パソコンやスマホの使いすぎ、運動不足、間食・夜食・甘食など原因がはっきりしていることがほとんどなので、その原因を可能な限り減らすことがとても大切です。
それに加えてマッサージやトレーニングなどを行うと頭痛が軽快していくと思われます。(個人差あり)
「体を温めて血流を良くすること」を念頭に置いて行うとうまくいくかと思われます。
②ストレス型緊張性頭痛
ストレス型の場合「ストレスをなくす」というのは少し難しいかもしれません。
職場でのストレス、家事・育児のストレスなど日常生活で蓄積するものがほとんどだからです。
そんな時に効果的なのは「気分転換」です。
ストレスを感じる環境から離れ、非日常を感じることでストレスを軽減させましょう。
旅行・映画鑑賞・スポーツ・美味しいものを食べにいくなど、普段の生活ではできないことをしてみてはいかがでしょうか。
③片頭痛型緊張性頭痛
片頭痛型の対策として「脈打つ痛みが出現している時に血流を良くしすぎないこと」が大切です。
先ほど申し上げた通り、片頭痛の痛みの原因は「三叉神経血管説」が有力です。
私も風邪をひいた時に脈打つ痛みが出現することがありますが、そんな時に風呂に入ったり頭を下にする姿勢をとったりすると、ズキンズキンとした痛みが出現します。
三叉神経血管説については疑問が残りますが、経験上こんな時はなるべく安静にしてよく眠るのが一番です。
私は薬をほとんど服用しませんが、動けないぐらい痛みが強い場合は薬の服用も考えて良いかもしれません。
頭痛が慢性化する要因
これは本の内容ではなく私の見解です。
頭痛が慢性化するのには2つの要因があると考えております。
1つ目は筋肉の持続的な緊張です。
肩こり型の頭痛は、その名の通り肩や首周囲の筋肉が硬くなり起こります。
実はこれ、ストレス型・片頭痛型にも同様に起こり得ることなのです。
ストレス型の場合、ストレスを感じることにより交感神経が過緊張となります。
交感神経の過緊張は全身の筋肉の緊張度を高めるので、肩首周囲の筋肉も硬くなり緊張性頭痛が出現する要因となります。
片頭痛型の場合、痛みにより肩首周りの筋肉が硬くなります。
例えばぎっくり腰(寝違え等でも構いません)をした時、猛烈な痛みが出現すると全身に(特に痛みが強い部位付近)に力が入りませんか?
痛みをどうにかして軽減しようとする身体の反応なのですが、片頭痛でもこれは起こります。
激しい頭痛がすることで肩首周囲の筋肉に過緊張が起こり、それが繰り返し起こることで慢性的に筋肉が硬くなり、緊張性頭痛が出来上がってしまいます。
2つ目は痛み止め薬の繰り返し、そして多量の服用です。
これは特に頭痛を強く感じる方に多いのですが、初めは痛みが強い日に1錠だけの服用だったのが、徐々に頻度が高くなり痛み止め薬を服用する回数も増えてしまいます。
次第に毎日服用するようになり、痛みが強い日には規定量より多量に服用してしまう方もいらっしゃいます。
痛みが出現
↓
痛み止め薬服用し軽減
↓
痛みの原因が解消されてないので再度出現
↓
痛み止め薬を服用する頻度が増加
↓
痛みの信号がもっと大きくなり、毎日の痛みへと悪化
痛みとは身体に対して発信されている緊急信号です。
原因もわからず解消もされていないのいに痛み止め薬を服用し痛みを軽減させてしまうと、さらに大きな緊急信号(痛み)を出すようになり頻度も高くなってしまいます。
例えば目を酷使した日に頭痛が出現するとして、この解決法は痛み止め薬を服用することではなく目の疲労を回復させることが重要となります。
緊張性頭痛にはマッサージが有効?
緊張性頭痛に有効な手段の一つとして、マッサージや鍼灸施術が挙げられます。
肩こり型はその名の通り肩こりが原因となりますので首肩周囲の筋肉をほぐすことで頭痛は軽減します。
ストレス型の場合、ストレスを受けることで交感神経が過緊張状態となり全身の筋肉の緊張度が高くなってしまいます。
これにより首肩周囲の筋肉も硬くなり頭痛が出現します。
「仕事を辞めたら頭痛がなくなった」という例も多くあり、ストレスからの解放が一番効果的となりますが、そんな簡単に仕事を辞めることはできないですよね、、、
マッサージや鍼灸施術を受けることで筋肉がほぐれ、同時にリラックス効果もありストレスの軽減にも効果的です。
片頭痛型の場合、痛みが強くズキンズキンと脈打つ痛みがある時はマッサージを受けず安静にしておくのが良いでしょう。(血流促進により痛みを誘発する可能性があるため)
ぎっくり腰や寝違えなど痛みが強い時には全身に力が入りませんか?
片頭痛で痛みが強く出現している時も同様に全身に力が入ってしまいます。
これが繰り返されることで片頭痛型緊張性頭痛が完成します。
痛みが落ち着いている時に施術を受け、筋緊張を低下させることで徐々に痛みを軽減させる効果が期待できます。
頭が痛くて頭痛薬を飲むだけでなく、選択肢の一つとして考えてみてはいかがでしょうか?
まとめ
- 緊張性頭痛には3つの型がある
- 3つの型の原因・対策はそれぞれ違う
- 頭痛が慢性化してしまう原因には筋肉の緊張と痛み止め薬の濫用がある
- 緊張性頭痛にはマッサージが有効である
今回はこれで以上となります。
頭痛に悩まされている型の参考になればとても嬉しいです。
参考図書