季節のお悩み

熱中症予防 鉄編

「鉄分不足」でまず初めに思いつくのは貧血でしょうか。

女性には月経が毎月訪れ多くの血液が体外に流出します。

この時に一緒に多くの鉄分も流れ出てしまうのです。

そのため鉄不足は男性よりも女性の方が圧倒的に多く、そのための不調もやはり多く出現します。

これに加え最近の夏の猛暑、大量に汗をかき様々なミネラルと同時に鉄分も失います。

鉄分が不足するとどんな症状が身体に起こるのでしょうか。

鉄の働き

  • 酸素の運搬
  • セロトニン合成補助

酸素の運搬

まず1つ目は全身に酸素を運ぶ役割があるということです。

鉄は赤血球に含まれるヘモグロビンの成分の一部となり酸素と結合し、これを全身に運搬する働きがあります。

当然鉄分が減るとヘモグロビンの量が減るので全身に運ばれる酸素の量が減少し

疲労感、倦怠感、動悸、息切れ、立ちくらみ

など様々な症状が出現します。いわゆる貧血というやつです。

酸素が不足している状態なので、これらの症状に加えて肩こりや頭痛、腰痛なども付随してしまいます。

セロトニン合成

鉄にはもう一つ重要な役割があります。

それがセロトニンの合成に関与するということです。

セロトニンとは

タンパク質を原料にに合成されるホルモンです。

幸せホルモンと呼ばれ、気分を高揚させたり明るい気持ちにさせてくれます。

朝起きてから日光にしっかり当たることでセロトニンの合成は促進され一日を元気に過ごすことができます。

さらにセロトニンは夜になるとメラトニンへと変換され身体を睡眠へと促します。

このセロトニンをトリプトファン(タンパク質)から作る際に鉄を使うのです。

この時にタンパク質や鉄が不足しているとセロトニンの合成が上手くいかず、うつ病の原因となったりメラトニン不足により睡眠が浅くなってしまいます。

鉄の種類

鉄にはヘム鉄と非ヘム鉄の2種類があります。

ヘム鉄

肉や魚に含まれている鉄分。

タンパク質の膜に覆われており、体内での吸収率が良い。

CPP(カゼインホスホペプチド)と一緒に取ると吸収率が高まります。(←牛乳やチーズに含まれるタンパク質成分)

非ヘム鉄

ほうれん草などの野菜に含まれる鉄分。

吸収率は低く、吸収する際には活性酸素が発生し腸の粘膜を攻撃してしまいます。

コーヒーや緑茶に含まれるタンニンは非ヘム鉄の吸収率を低下させますが、ヘム鉄の場合は影響がないようです。

貧血と診断を受け鉄分を摂取するとなると

「鉄分と言えばほうれん草やな」

とよく言われますが、以上の理由によりほうれん草などの非ヘム鉄より、肉や魚に含まれるヘム鉄を摂取することをお勧めします。

鉄が不足すると

  • 動悸
  • 息切れ
  • 疲労感を感じやすい
  • 頭痛
  • めまい
  • 気持ちが落ち込みやすい
  • 爪が弱くなる

など様々な症状が出現します。

もちろんこれらの症状が鉄不足によって出現しているかの鑑別は必要なため、病院で血液検査などの健診を受けることは大切です。

これらの症状は鉄不足の代表的な症状で、特に女性に多く、悩まされている方も多いのではないでしょうか。

でも実はもう一つ、あまり知られていない鉄不足が原因で引き起こされることがあります。

それが「皮膚疾患」です。

アトピー性皮膚炎や乾燥肌、痒みなどがこれにあたります。

これはなぜかというと、鉄が不足することで末梢に送られる酸素量が減少してしまうからです。

酸素が不足し皮膚に栄養が届かなくなり、皮膚の新陳代謝、損傷部位の回復機能が低下し、これが肌荒れや皮膚炎に繋がるのです。

皮膚が荒れていると保湿剤や抗炎症薬(塗り薬)などに頼ってしまいがちですが、それでもよくならない時は内面からのアプローチを考えてみてください。

鉄、タンパク質、ビタミンCなど肌の構成に重要な栄養をしっかり摂り、きれいな肌を目指しましょう。

まとめ

以上のことから鉄が不足すると様々な症状・不調が出現します。

それにより体力が低下し夏の暑さに負けてしまうと熱中症のリスクが高くなります。

「それなら暑い環境に身を投げ出さなければ良い」

これも一つの対策かもしれませんが、これを言ってしまうと元も子もないですね、、、

暑い日はまだまだ続きます。

暑さに負けず夏に打ち勝ちましょう!!