慢性的に腰痛がある人によく
「腰痛いねんけどヘルニアかな?」
とよく聞かれます。
結論から言うと、この症状があるからといって「腰部椎間板ヘルニア」と断定はできません。
むしろこの症状があっても、ヘルニアの人は少ないかもしれません。
ではなぜ腰が痛くて足が痺れるのでしょうか?
関与する筋肉
①腰方形筋ー腸骨稜から起こり、第12肋骨と第1〜4腰椎横突起に止まる。
作用ー片側だけが働くと体幹を同側に曲げる。両側働くと腰回りを固定し左右のバランスをとる。また姿勢にも働き、身体が前に倒れるのを防ぎます。
②梨状筋ー仙骨前面・仙結節靭帯から起こり、大転子に止まる。
作用ー股関節外旋(足を外に回す)、股関節の保持。この筋肉の下に坐骨神経が通っているため、梨状筋が硬くなると坐骨神経痛が出現する。
③大殿筋ー仙骨後面・腸骨後面・胸腰筋膜・仙結節人体から起こり、上部は腸脛靭帯、下部は大腿骨の殿筋粗面に止まる。
作用ー股関節伸展(足全体を後ろにあげる)、股関節外旋(足を外に回す)。股関節を安定させる。上部だけ働くと股関節外転(足を外にあげる)下部だけ働くと股関節内転(足を閉じる)。大殿筋が弱ると腰が曲がってくる。
④中殿筋ー腸骨外面に起こり、大腿骨大転子に止まる。
作用ー股関節外転(足を外にあげる)。股関節を安定させる。片足立ちをした時によく働く筋肉。転倒予防にとても大切。
⑤小殿筋ー腸骨外面に起こり、大腿骨大転子に止まる。中殿筋の下に位置する。
作用ー股関節外転(足を外にあげる)。股関節を安定させる。
画像の青い点部分(トリガーポイント)を押すと、赤い範囲に関連痛(ズーンと響くような痛み)が出現します。
参考図書:ビジュアルでわかるトリガーポイント治療
症状
- 腰が痛い
- 足が痺れる
- 足がだるい
- 太ももの前や後ろがだるい
- 動いてると痛みが少しマシだがじっとしているとすぐ痛くなる
このような症状を訴える方が多く、これらの症状だけではまだヘルニアと断定できません。
明らかに危険な症状
- 腰や足が痛すぎて歩けない
- 膀胱直腸障害がある(失禁など)
- 患側下肢が明らかに筋力低下を起こしている
これらの症状がある場合はヘルニアになっている可能性が高く、神経が障害されています。
すぐに病院に行きMRIなどの精密検査を受けることをオススメします。
また足のしびれと聞くと、坐骨神経痛や腰部脊柱管狭窄症などが思い当たります。
坐骨神経痛とは、殿部から出る坐骨神経が硬くなった筋肉に当たり
太ももの後ろから足の裏までビリビリと痛みが走るものです。
殿部や股関節の筋肉を治療すると軽快するものが多いです。
腰部脊柱管狭窄症とは、背骨の中の神経の通り道が狭くなったものです。
普段からの腰痛に加えて、歩くと腰から足が痛くなり休憩しないと歩けないといった症状が出現します。
手術を選択される方もいらっしゃいますが
腰椎に付着する筋肉や殿部・股関節の筋肉をしっかりほぐすと楽になります。
僕は筋肉をしっかりほぐす治療をオススメしますが
どちらを選ぶかはその人次第ですね。
原因
- 重い荷物を持ち運ぶ仕事をしている
- 長距離運転などで長時間座っている
- 立ちっぱなしの時間が長い
- 後ろポケットに財布を入れて座る癖がある
これらの仕事中の動作や日常生活での体の使い方のくせが原因となります。
毎日繰り返し行う動作であるため、体の一部分にとても負担がかかります。
そうすると上記の筋肉やそれ以外の筋肉が硬くなり
痛み、しびれ、だるさが出現し
坐骨神経痛のような、ヘルニアのような、脊柱管狭窄症のような症状が出現します。
また、飲酒や喫煙も原因となります。
- アルコールの分解
- 酸素供給の低下
- 交感神経緊張による筋肉の緊張
本人は気づきませんが実はとても体力を消費しやすい体になっていて
治りにくかったり、慢性的に痛みが持続する体が完成してしまいます。
もし飲酒喫煙をやめれないのであれば、量を減らすことから始めてみてください。
治療と対策
症状で紹介した明らかに危険な症状以外は
指圧・鍼灸・運動
で施術・治療することができます。
腰や足のしびれは、筋肉が硬くなって痛みが出現していることが多くあります。
この硬くなっているポイントは
トリガーポイント
と呼ばれています。
このトリガーポイントが原因となっている場合は
これをしっかりほぐすと足のしびれや痛みは軽快します。
また日常生活や仕事中の動作も
可能な範囲で改善を目指しましょう。
太ももの裏を伸ばすストレッチも効果的です。
初めは膝を曲げてでもいいので、つま先を持つように行ってください。
30秒ほど反動をつけずにゆっくり伸ばすとしっかり緩んできます。
腰痛や足のしびれ、だるさは怖い症状ですが
原因がわかれば改善することもできます。
まずは原因を知ることが治療の第一歩です!!