産後骨盤矯正という言葉をよく見かけます。出産後は骨盤がズレてしまいそれが腰痛や首肩こりの原因となりそれを治すといった施術のことです。
では、出産と身体はどのような関係があるのでしょうか。
出産前後の身体
①出産前
妊娠してから出産するまで身体は大きく変わっていきます。明らかにわかる変化は子供をお腹で育てていくためどんどんお腹が大きくなることです。体重も一緒に増加していきます。
その他にも、大きくなったお腹を支えるために骨盤が開いたり、腰椎が前弯します。
また、赤ちゃんを産道に通すため全身の靭帯、特に骨盤周りの靭帯を緩くします。
上記の大きな変化により筋肉に負荷がかかり腰痛や首肩こりが出てきます。
②出産後
出産後は元の身体に戻るのに必要な期間は約1ヶ月と言われています。
「元の身体に戻る」とは、出産後の傷が治る・悪露がなくなる・体重が戻るなどのことです。
骨盤のずれや靭帯の緩み
前述したように、出産の際赤ちゃんが産道を通るため骨盤周りの靭帯が緩みます。この靭帯の緩みは短くても約3ヶ月は続くと思われます。
これにも個人差があり、僕の妻は半年ほど骨盤周りがグラグラすると言っておりました。
出産後の腰痛や首肩こり
産後3ヶ月は出産の影響で全身の靭帯に“緩み”が生じています。
靭帯には骨と骨を繋ぎ関節を安定させる働きがあります。靭帯が緩みこの働きが弱くなると筋肉が代わりに頑張ってしまい疲労が蓄積し、硬くなり、痛みが生じます。
さらにここに、授乳・夜泣きによる寝不足・ストレスが加わり腰痛や肩こりが出現します。
この状態で、産後骨盤矯正で骨盤のずれを戻したとしても靭帯は緩んでいて、筋肉も硬くなりやすいためすぐに元に戻ってしまいます。
産後骨盤矯正って意味が無い?
確かに、今の説明だけだと産後骨盤矯正は意味が無いと思ってしまうかもしれません。
ですが、そんなことはありません。
これは考え方次第で、産後骨盤矯正をするというのではなく産後の身体のケアをすると考えてください。
骨盤矯正で骨盤のズレ自体を治すのではなく、腰方形筋や大臀筋中臀筋小臀筋など出産・出産後に負担がかかりやすい骨盤・腰回りの筋肉をほぐす、授乳やストレスで硬くなりやすい首・肩周りの筋肉をほぐしましょう。
しっかり施術していると、骨盤のズレも経過とともに治っていきます。
適切な施術を受け、体をほぐしてあげると楽になります。気持ちにも少し余裕ができます。
ストレスが溜まり、疲れが溜まると身体は硬くなります。逆に考えると身体がほぐれるとストレスや疲れも軽減するのです。
溜め込み過ぎないで
出産後の女性は、出産という命に関わるとても大きなことを成し遂げたばかりです。普段との身体とは全く違います。
頼れるところは頼り、適切なケアを受けてくださいね。
またこの記事は、産後骨盤矯正治療を否定しているのではありません。治療の選択肢・考え方の一つとして参考にしていただきたいと思います。